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ところが、今年二月以降、胡蘭成と言ふ中国人を、筆者は発見した。
この人は.トルストイの預言中の救世主としての要件を、あらかた、充し得るのではないか。もちろん、メシア(救世主)と言ふことばは、西洋の枠内のものであって、東洋にはあて嵌らない。
しかし、トルストイは西洋人であるから、その用語を使ふしかなかったのであらう。
胡蘭成著「今日何日号」の「世界劫毀與中国人」を読んで行くうちに、そのことに思い当たった。
胡蘭成先生は一九〇六年、清国浙江省の人。
清朝末期に生まれ、辛亥革命時に五歳、中華民国誕生時に六歳。
胡蘭成の「ひととなり」を評価する文章としては、「心経随喜」への保田與重郎の序文が最高のものであらう。
ここには引用を省略するので、直接、原著を参照して頂きたい。
この一文が、「保田與重郎全集」に収録されて居るかどうかは、未だ調べて居ない。
胡蘭成先生は、自分の一生は、一本の網に全重量をかけて進むやうなものであった、と、述懐して居られる。
これはその通り、筆者には良く分る。
しかし、まずそこのところが日本人には分らない。
胡前成先生は、逝去の一年前に、「世界劫毀與中国人」を書き終えたと、朱天文女史の「編輯報告」に述べられて居る。
そして、この「世界劫毀與中国人」の巻頭に、
遂志賦
−−−代序
と言ふ、かなり長い序文(二十頁)が収められて居る。
民国六十九年六月八日、の日付けあり。
民国六十九年は、西暦一九八〇年。
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